中村モーターサイクル商会 仕事の話

仕事について、考えていることを発信していています

この仕事、断ってもいいですか

あなたは、「断りたいな」と思いつつも断り切れずに仕事を受けてしまった経験はありませんか。

たとえば、これから映画を観に行く予定なのに、雑用を押し付けられたり、あちこちで断られた難しい仕事が回ってくる。こんな体験です。

 

私も、お断りしたい仕事なのに、つい受けてしまうことが多いです。

納期の厳しい仕事をしていて猫の手も借りたい状況であっても、断れない筋から急な作業を頼まれると断れません。

また、深く関わりあいたくないような内容の仕事であっても、どうしてもと泣きつかれると根負けして受けてしまいます。

 

どちらのパターンにも共通しているのは、依頼主がとてもお困りの様子なんですね。だから、自分が無理や我慢をすればなんとかなるな、とつい考えてしまいます。

 

とはいえ、その仕事のおかげで苦労をすると、「参ったな」「なんで受けてしまったのだろう、はっきりと断ればよかった」とひとしきり後悔します。

いつもなぜ断れないのだろうと考えてみるに、仕事を断ると罪悪感を抱いてしまうことに気が付きました。

 

これは、断られてしまった相手が困っている様子を想像してしまい、申し訳ないなと思ってしまうからでしょう。また、これを断ることは人間としてあり得ないな、という状況もあります。

断るという行為には、それなりのエネルギーが必要です。ですから、なるべく断ることを避けようとします。

とはいえ、全ての仕事の依頼を受けていては身が持ちません。受ける仕事と断る仕事を仕分けた上で、断る仕事は断る。

断る行為に緊張が伴いますが、人生において避けては通れないことです。

 

 

まとめると、社会には断れない仕事と、断れる仕事があり、それを自分なりの基準で選別することが必要だということです。

 

では、断れない仕事とは具体的にどのような仕事でしょうか。考えを巡らしてみましょう。

まず、考えられるのはお世話になった、なっている人からの仕事の依頼でしょう。渡世の義理というやつです。また、状況によっては、断ることで依頼主のメンツを潰すことにもなりかねません。

このような仕事は、ちょっと面倒くさいな、儲からないな、と思いつつも受けないわけにはいかないでしょう。いわば、前倒しでお金を受け取っていたようなものです。面倒でも、儲からなくても、お返しするつもりでお付き合いする。もちろん、ありがたいという感謝の気持ちをもって仕事を受けるわけです。

 

つぎに、自分に責任がある仕事です。自分が初めから関わっている仕事や、自分が直接手を下した成果物の出来についての問題です。いまさら「知らねえよ」は通用しないですよね。

そんなことをすれば、無責任の烙印を押されてしまい信用を失います。だいいち気持ちが悪いですよね。

 

いっぽう、断れる仕事とはどのような仕事でしょうか。それを考えるにあたって、まずは断れる根拠を挙げてみましょう。

 

第一に、その仕事は断れない仕事でない。第二に、やりたくもないし、受ける義務のない仕事。第三に、受けたからには完遂する義務が発生しますから、責任上受けられない仕事。第四に、受けることで現在進行中の仕事に支障をきたす恐れがある場合です。

 

このように、断ってもいいし、受けてもいいものから、断らざるを得ないものまで様々な根拠となる理由があります。断りたい仕事に共通するのは、自分のメリットが少ない、あるいは無いということでしょうか。

 

では、仕事を断ることで受けるメリットとデメリットはなんでしょうか。

最高のメリットは、より自分の仕事に専念できる。これではないでしょうか。

煩わしい仕事から解放されて、自分の得意な、やりたい仕事に打ち込める。最高ですね。

 

いっぽう、デメリットは依頼主が不満感を抱き、離れていくことでしょう。問題解決の期待を裏切られ、悩みが解消しないからです。だから、マイナスの評価をするに決まっています。嫌われたり、頼りにならない奴と認識される恐れもあります。

 

とはいえ、いまデメリットとして挙げたことは依頼主自身がそう言ったなら話は別ですが、これらは依頼を受けた側の勝手な思い込みであって、むしろ自分自身が期待に応えることができない申し訳なさを感じる、と表現したほうが正確でしょう。まさに前述した私の心境です。

相手を失望させたくない、この感情にしばられてしまうのです。

 

いっぽうで、世間には依頼主の事情をくみ取ろうとせず、「その仕事を受けて何の得があるの」とズバッと切り捨てる人もいます。

 

基準は人それぞれですから、内容次第で断ることもあるでしょう。ですが、その言葉に納得感があるでしょうか。断るにしても、相手を尊重する物言いをしたほうが、お互いのために良いのではないでしょうか。

 

仕事を選び、ときには断ることも大切です。しかし、断り方にも礼儀があると思うのです。つまり、断るにも断り方があるということです。

では、困っている相手に対しては、どのように接するのが良いのでしょうか。

 

次回は、断りかたの礼儀についてと、なぜ断らなくてならないのかについて、踏み込んで考えてみます。